グルテン不耐性やグルテン過敏症について

近年、グルテンフリーというワードを耳にすることが多くなりました。
小麦に含まれるタンパク質の一種であるグルテンを摂取しないという食生活のあり方です。
なぜグルテンフリーの食生活をする必要があるのか?詳しくご存知ないという方も多いと思います。

グルテンを摂取することでグルテン不耐性やグルテン過敏症といった症状を引き起こし、体に様々な不調が起きてしまう方が実は大勢います。
そのため、欧米を中心にグルテンフリーの食生活をすることが推奨され始め、ハリウッドセレブや有名スポーツ選手が取り入れるようになったのです。
近年は日本でも注目され始めていますね。

今回はグルテン不耐性やグルテン過敏症についての知識を深め、どのように対処していくことが良いのかなど、詳しくご紹介します。

グルテンの特徴

小麦やライ麦などの穀物類には、グリアジンとグルテニンという2種類のタンパク質が含まれています。
グリアジンは弾力があるけど伸びにくい、グルテニンは弾力は弱いが粘着力が強く伸びやすい、という性質があります。
グリアジンとグルテニンに水を加えてこねることで網目状に絡み合い、グルテンになります。
グルテンの性質を利用した、モチモチとした食感や弾力のある食感の食べ物はパンやパスタなど数多くあります。

しかしこのグルテンが原因で小腸の粘膜を傷つけ炎症を起こすと言われているのです。

グルテン不耐性とグルテン過敏症のメカニズム

まずは、グルテン不耐性とグルテン過敏症がどうして起きるのか、メカニズムについてご紹介します。

グルテン不耐性はグルテンをスムーズに消化できないことで起こる症状、グルテン過敏症は小腸がグルテンに過敏に反応することで起こる症状です。
症状の違いはありますが、どちらも小腸で起こり、身体に不調を与えるという点では共通しています。

本来であれば小腸の粘膜の細胞は適度につながっていて不要な毒素や細菌をブロックし、必要な栄養素だけを取り込むことのできる仕組みになっています。
しかしグルテン不耐性やグルテン過敏症の人はグルテンを摂取することで小腸の粘膜の細胞間が緩み、その隙間から毒素が入り込んで炎症を起こしてしまいます。

アメリカでは人口の15%がグルテン不耐性や過敏症であると言われていますが、そのうちの99%が自身がグルテン不耐性や過敏症であることに気が付いていないというデータも。

日本でも広くは知られておらず、診断されることもほとんどありませんが、罹患している人は実は多く、自分でも気付いていない人がたくさんいるのだと言われています。

グルテン不耐性やグルテン過敏症の症状として明らかな不調が起こる場合もありますが、小麦アレルギーのように食べるとすぐにかゆみや顔が腫れるなどのアレルギー反応が出るわけではないことが多く、症状が慢性的な不調に近いために自分がグルテン不耐性や過敏症であることに気が付きにくいのです。

小腸は必要な栄養素を取り込む大切な臓器です。
そこから必要な栄養を取り込めなかったり、不要な毒素を取り込んでしまうと様々な不調を引き起こしてしまいます。

また、偏頭痛・PMS(月経前症候群)・自己免疫疾患などもグルテンによるダメージが一因となっている可能性が示唆されています。

若いうちは毒素の蓄積も少なく毒素を排泄する力もありますが、年齢とともに蓄積した毒素によって、突然グルテン不耐性や過敏症を発症するという例も。
そのため子供の頃よりも成人になってから発症する確率が高いとも言われています。

グルテン不耐性や過敏症は日常的な軽い症状が多く、より重篤であるセリアック病のような症状は出ないと言われています。
しかし、放置しておくことでセリアック病を発症する危険性もあると指摘されており、軽く考えてはいけない症状であると言えます。

グルテン不耐性とグルテン過敏症の対処法

グルテン不耐性やグルテン過敏症は、医学界でも十分に理解されていないため、診断を受けることは難しいのが現状です。
不調を訴えても原因が生理的な症状や精神的な影響であると診断されることもよくあります。

検査を受けても原因がわからない不調がある場合は、まずグルテンを摂取しない和食中心の食事を心がけることから始めてみることが推奨されています。

しかし「グルテンを摂取しないように」と簡単にいうけれど、グルテンを摂取しないというのは無理だ!という声も多くあります。
いきなりグルテンフリーの食生活に100%切り替えるのは確かに難しいでしょう。
しかしパンではなくお米、ラーメンではなく蕎麦、焼き菓子ではなくお煎餅や大福など、出来ることから小さく始めるだけでも意味は十分にあります。

グルテンを摂取しない食生活を数週間続けて体調が良くなったり、身体が軽くなったと感じる方は、グルテン不耐性やグルテン過敏症の可能性があります。
小さなグルテンフリーから始め、体調の変化を自身でチェックしてみることをオススメします。

グルテンフリーは正しい知識を持って行わなければ栄養不足に陥ったりと逆に健康を損なう可能性もありますので、少しの間実践してみてグルテン不耐性やグルテン過敏症が疑われる場合は専門の医療機関などを受診して正しい食事法を学ぶようにしてください。

まずはグルテン不耐性や過敏症について知ろう

慢性的な体の不調を抱えており、自分がグルテン不耐性や過敏症の可能性があるのでは?と感じた場合は、まず食事の内容を少しずつ変えてみましょう。
グルテン不耐性やグルテン過敏症の可能性も視野に、まずは小さいことから食生活を変えてみてください。いきなりグルテンを一切断つのではなく無理なく上手に付き合っていくことも大切です。