セリアック病って何?【グルテンフリーを始めよう】

「セリアック病」という疾患をご存知ですか?
セリアック病は、小麦などに含まれるグルテンと深く関係している疾患で、身体に様々な異常きたすと言われています。

グルテンフリーという言葉は、最近よく聞かれるようになりましたよね。
様々なところでグルテンフリーの食品が売られており、実際に購入しているという方も多いと思います。

今回は、セリアック病を発症する原因と症状、治療法やグルテンフリーとの関係などについて詳しくご紹介していきます。

セリアック病とは?

セリアック病とは、小麦・大麦・ライ麦などの穀物類に含まれるタンパク質の一種「グルテン」に対する不耐性です。
大人や子供問わずに症状が現れ、生涯続く疾患です。
遺伝性のアレルギー反応と自己免疫疾患が組み合わさったものと考えられています。

遺伝性と聞くと子供の頃からの症状と思われることも多いですが、成人になって発症する場合が多いことが近年、分かってきました。
新規発症例の60%が成人であるとも言われており、誰にでも発症する可能性があります。
さらに症状が多岐にわたることから、成人のセリアック病は気付かれにくく、不調を抱えたまま生活している人も多いと言われています。

欧米では、およそ100人に1人くらいの割合でセリアック病患者がいると言われていますが、日本ではまだまれな疾患です。
しかし日本でも生活様式の変化による食の欧米化が進み、今後罹患する人が増加していくことも示唆されています。
また、日本ではまれな疾患のため医療現場での認識も薄く、セリアック病と診断されていない例も多いのではないかと言われています。

セリアック病の原因は?

セリアック病はグルテンに対する免疫反応によって発症します。
グルテンにはタンパク質を構成するアミノ酸のなかでも、グルタミンとプロリンが多く含まれています。
グルタミンとプロリンが多く含まれるグルテンは、胃や小腸での消化が不完全に終わりやすいことが分かっています。
消化が不安全に終わった物質が小腸粘膜から吸収をされると、トランスグルタミナーゼと呼ばれる酵素によって分解され、抗原性の高いグリアジンという物質が産生されます。
このグリアジンによって自己免疫反応が誘発され、セリアック病を発症します。
幼少期にグルテンを多く摂取することで、成人になってから発症する確率が高いというデータもあるそうです。

セリアック病の症状は?

セリアック病は遺伝性の疾患のため、発症すると生涯続くと言われています。
セリアック病の一般的な症状は、食欲不振・慢性の下痢・頻回の嘔吐・体重減少・栄養失調です。
しかし、こうした重度の症状は比較的まれで、便秘・お腹の張り・疲れやすさ・頭痛・腹痛など、誰でも一度は経験したことのある何気ない症状を抱えてている人の方が多いと言われています。
そのため、ほとんどの人がセリアック病であるという自覚がないまま生活していると指摘されています。

さらに成人のセリアック病は、胃の不調・鉄欠乏症・うつ病・骨粗鬆症なども同時に発症している例も多く、診断までに時間がかかる場合も多いそうです。
今ある原因不明の不調もセリアック病に繋がっている可能性があります。

セリアック病の診断方法

セリアック病は、採取した小腸を顕微鏡を使用して確認することから診断されます。
しかし、腸の組織を採取するのは負担が大きく、実際には困難な場合もあります。
そのため、血液検査でトランスグルタミナーゼに対する抗体が存在しているかどうかを確認することがあります。
しかし、このような検査以外にも臨床症状や合併症の症状などの情報をもとに総合的に判断した結果、セリアック病と診断されます。

セリアック病の治療法

現在、セリアック病を完治させる方法は確立されていません。
そのため免疫反応の原因を取り除くことが主な治療法です。

セリアック病は、グルテン摂取することから引き起こされます。
そのため一般的な治療法は、食事からグルテンを除去することです。
グルテンの摂取を控えることで数日から数週間で小腸粘膜萎縮が改善される場合が多いと言われています。
セリアック病患者は、このようなグルテンを除去した食事を生涯続けなければいけません。

セリアック病とグルテンフリー

欧米では100人に1人がセリアック病を罹患しているとも言われており、日本よりもグルテンフリーに対する意識が高いと言われています。
そのためグルテンフリーの商品が多く、実際にグルテンフリー生活をしている人も多いそうです。
近年は日本でもグルテンフリーという言葉がよく聞かれるようになりました。
外食や食品売り場などでもグルテンフリーの商品が並んでいるお店は増えてきましたが、まだまだ欧米に比べて意識が低いと言えます。
市販のものをうまく使用し、自身に合ったグルテンフリーの食事を心がけることが重要となってきます。